普段、あまりマンガを読む習慣のない私が唯一チェックしているのが、少年チャンピオンに連載中の、“ドカベン・ドリームトーナメント編”。
このマンガを読み終えると、いつも何かアニメーションでも観たかの様な感覚に陥るんですよね。
多分、それだけキャラクター達に息吹を感じているからなんだと思います。
それに、失礼ながら絵のタッチが若い若い( ^-^)
衰え知らずの作者・水島新司氏は今年76歳。
1年前に“あぶさん”の連載を終了させ、現在はドカベン1本に専念されている。
水島氏の語録に、「巨人ファンの漫画家が描いた野球マンガは面白くない。」というのがあるんですが、ホントその通りだと思いますね。
巨人が舞台のマンガは数あれど、何度も読み返せる野球マンガって、巨人人気に乗っかっていない水島氏の作品群しか思いつかないです。
魔球などをウリにせずとも、ドカベン、あぶさん、野球狂の詩などの名作を生み出し、同時期にそれらを連載していたのはとてつもない偉業。
あ、野球狂~は不定期連載の頃がありましたかね、確か。
後のドリームボールは、魔球へのアンチテーゼだったんじゃないかと思いますね。
水島氏も昔は阪神ファン代表としてバラエティー番組に出演されたりし、「野球を知らない人らと討論したくないよ。」などと冗談ぽく他チームファンの共演者を牽制したりしていたのを思い出します。
ホークスと同じくらい好きだったんだと思いますね、阪神の事も。
でも不思議やなぁ、新潟県出身の方なのに(笑)
“あぶさん”といえば、こんな名作エピソードがあります。
1975年度作品 “少女の信濃川”
オフに新潟へ里帰りした、あぶさんこと南海ホークスの景浦安武は、川縁を散歩中に、病気で入院中の早苗という女の子から来た一通のファンレターの事を思い出します。
『確かこの近辺にある病院から届いてたはずだが…。』
思い立った景浦はその病院を訪ね、女の子を見舞いに行きます。
ファンレターは、子供が書いた様な平仮名のみの未熟な形の文字で綴られていた為、ちびっこファンからの手紙だと思い込んでいた景浦は、病室を覗いて仰天します。
差出人は高校生の少女だったのです。
少女は眼の病気で入院しており、文字をしっかりと書く事が出来ない為、その様な文面になったのでした。
そうとは知らぬ景浦は、子供をイメージしながら書いた彼女への返事の手紙を出しており、偶然それがこの時に届いてしまいます。
少女とその母親に、回復に向けての勇気付けの為、この場で是非読んで欲しいと懇願され、断りきれず手紙を読み始めます。
その内容は、ちっちゃな女の子のファンが喜び、より憧れを抱く様な言葉で占められていました。
「まいにちびょうきとたたかっている、さなえちゃんはかわいくて,がんばりやさんなんでしょうね。おにいちゃんそういうおんなのこ、だいすきです。さなえちゃんのとしがもっとうえなら,おにいちゃんのおよめさんにしたかったなあ…。」
顔を真っ赤にし、汗だくになりながら、読み終えた景浦は逃げる様にその場から立ち去ります。
景浦の勘違いに気付き、笑い合う親娘。
でも少女は、恥じらいと感激に眼を潤ませ、返事の手紙をいつまでも胸に抱いていたのでした…
ざっとこういう感じのストーリーですが、この作品も最初に読んだ時、何かドラマ、いやドキュメンタリーでも観た様な不思議な気分になったものです。
実話であって欲しいなあ、なんてね。
スタジアムで打って投げてといった描写があるだけが野球マンガじゃないって事をこの作品からも教わりました。
やはりこの“少女の信濃川”の世界観に感銘を受けた者は多かったらしく、1977年放送の、“ あゝプロ野球” というテレビ番組でこの作品が取り上げられた事がありました。
あぶさん特集の回での事でしたが、作品中に出て来る“大虎”という呑み屋が実在したというドッキリ企画に水島氏が引っ掛かるオマケ映像付きでしたねぇ(笑)
この番組を制作した“テレビマンユニオン”という会社は、前身番組の、“ あゝ甲子園” 共々、独特の切り口でお茶の間を楽しませてくれた、ドキュメンタリー制作のプロフェッショナル集団でした。
今でもあるのかなぁ?
余談ですが、元阪神・小林繁投手のモノマネを誰よりも早く披露したのは、この番組内での関根勤氏だったんですよー。
明石家さんま氏より、3年も早かったワケです(^^)
この所、水島氏の地元、新潟市商店街でのキャラクター銅像撤去要請の事が話題になってますが、何か銅像を模したシルエットが営利目的で二次使用されかけてるという話しがあるそうです。
せっかく水島氏の好意で、著作権使用料を無償にしてくれてるのに、管理者が上記の様な事を見過ごしてしまっている甘さが、今回の原因の一端なのかも知れないなぁ…
トホホな話しです、残念(-_-#)
あ、そうだ、
昔、私の地元の百貨店で、水島氏の出張アトリエ企画的な催しがあり、何週間かの期間、水島氏の作業部屋が百貨店の一角に設置され、来客がオープンに水島氏が漫画を描く姿を見学出来るというドリームイベントがありました。
私は結局、その期間に逆に仕事の出張で地元を離れたものですから見に行く事が叶わずで、それを今でもひどくひどく悔やんでおります…(T^T)(T^T)(T^T)