もぎたて発☆ディストピア行

 〜よくばりな浪漫トラベラーに捧ぐ〜

プロレスを愛した、ある空手家の哀しき引退表明

“空手”=武道、格闘技、真剣勝負
“プロレス”=格闘スポーツ、格闘エンターテインメント

一般のイメージだとそれぞれこんな感じでしょうか。

このふたつが交わるだなんて、昔なら荒唐無稽な話でありました。

ようするに、空手家とプロレスラーが試合をして雌雄を決するという事!


どうです、格闘技とかに特に興味のない方でもちょっとワクワクしませんか?(^^)


で、ついにその禁断の扉が開いたのが、1989年7月2日の東京・後楽園ホール。

“格闘技の祭典”というイベント内での事でした。

“プロレスラー・大仁田厚 対 空手家・青柳政司”


またまたここでも大仁田氏の開拓者ぶりが見て取れます。

有刺鉄線や電流爆破の過激なデスマッチだけではなく、男女レスラーの混合マッチであるとか、このような異種格闘技の仰天対決を恒久化させていったのは、全て大仁田氏の飽くなきチャレンジ精神によるもの。

『いやいや、アントニオ猪木氏がずっと以前に何試合も異種格闘技戦をやっているだろ。』と言われてしまいそうですが、あれは全て対外国人。

道着を着て戦った柔道のルスカ氏や、極真空手を破門されてまで猪木氏との対戦に挑んだウィリアムス氏のように、日本の武道出身の選手との対戦もあるにはありましたが、ただただ猪木氏が勝てばそれで良かった…

これが日本人同士で互いの流派の看板を賭けた闘いを行ったならばどうでしょう…?

本家日本が世界最強でなくてはならない空手と、体もデカくて反則攻撃とて繰り出すかも知れない何でもありの、これまた世界でトップレベルの日本のプロレス。

それまで実現する事のなかった異次元対決が遂に解禁されるに至ったのです!

両者の取り巻き(セコンド)が多数でリングを囲い、小競り合いを繰り返す殺伐とした異様な雰囲気の中で試合は行われ、結果、執拗な頭突き攻撃で額から大流血させられた青柳氏の反則勝ちという結末でした。

大仁田氏のムチャな攻撃に怒り心頭のセコンド陣に対し、当の青柳氏は逆にプロレスの凄さを賞賛する発言をして、何か不思議に思えたものです。

でもそれも全て、ほんとはプロレスラーになりたかったひとりの空手家のプロレス愛からポロリ出たホンネの言葉だったのです(^-^)

その後この試合をきっかけに、青柳氏は本格的にプロレス界に進出し、空手家のイメージのままで数々の団体で闘い続け、遂には老舗の大手団体・新日本プロレス参戦にまで上り詰めます。

その一番ピークの時に、惜しまれつつ離脱をして自身のプロレス団体、“新格闘プロレス”を立ち上げるに至るのですが、当時のテレビ出演時のインタビューではふざけてジョークばかりを連発し、あの鬼気迫る強豪空手家のイメージが見事に崩れ落ちてしまうこれまた不思議な勢いを醸し出していました(笑)


そんな青柳氏が先日バイク事故で重傷を負い、引退を余儀なくされてしまったのです…


嘘だろ…


こんな哀しい結末…
これまであまり耳にした事のない幕引きです。


もうあのファイトは二度と観られないのか…


『ハーレーを乗りまわしてて、スポーツカーとぶつかって事故るだなんて、カッコいいんだかわるいんだか分かんないよー、館長!…(T-T)』



長い間我々プロレスファンを楽しませて頂き、ありがとうございました<(_ _)>

今はもうそれしか言えません…(T^T)


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